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「いさぎよい」映画だ。『サウダーヂ』を見終わってまず、そう感じた。

90分でやりたいことやって、撮りたいもの撮って、いさぎよく終える、それこそ映画の理想形だ、とすら思っている僕にとっては(あるいは一般的な人々にとっても)ペドロ・コスタの映画に足が向かないこと同様、ほとんど3時間近い尺のあるこの映画へのハードルは高かった。

昨年、公開当時も、長尺についに映画館に足が向かわなかった。映画をDVDで初見することのを愚かしさは十分に知っているにも関わらず、ツタヤでいいか、なんて思った自分を罰してなのか、35mmフィルム以外の上映はしない、と聞いた時は、自分の不節制を、半年近くも後悔することになった。

だから、オーディトリウム渋谷で再上映をする、と知った時は、胸が躍った。そして今日渋谷にてついに映画を見ることができた、それ自体がとても幸せである。

167分という上映時間がまるで嘘みたいに、まだまだ見ていたいと思った。きっと理由はこの映画の「いさぎよさ」にあるのだと思う。

全編に渡って、数多くのギャグシーンが散りばめられている。そのほとんどがたった10~30秒ほどの短いシークエンスで、シーンとシーンと間に突然挿入され、何事もなかったかのように次のシーンに続く。それが全く冗長でなく、飽きがこない。(冗長なギャグシーンほどうんざりなものはない)

更に、167分という時間が嘘のように、ひとつひとつのシーン/シークエンスもほとんど3分程度で構成され、さくさくと次の場面に進む。かといって僕たちがもっと見ていたいと思っているシーンについては切るような野暮な真似はしないで、じっくりと見せる。(例えば、はじめてのアーミービレッジのライブ/商店街でひとりラップする田我流/シンナーか何かを吸いまわすセイジとビン)

扱うテーマはどうであれ、全くもって面白い『サウダーヂ』。今後のDVD化もしないのでは、と思っているので、もし未見であればいますぐ渋谷に急ぐべし。

オーディトリウム渋谷にて上映中 http://a-shibuya.jp/archives/2023

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