田中大地のwebサイト

■最近見た映画
・『ロック・オブ・エイジズ』(アダム・シャンクマン)
トム・クルーズがロックスターとか間違いなく面白いと思ってたけど、想像通り最高のハピエストムービーだった。
なにより主演のジュリアン・ハフがとにかく凄い。(映画中ずっと、『魔法にかけられて』のエイミー・アダムスかと思ってたのだけど全然違うようで、同じような話の『バーレスク』にも出てた子のよう。)たとえばはじめてのデート、山の上かどこで、彼に見せるくしゅっとした笑顔だとか、彼に別れ雨の中を歩くときの落ちた表情とか、まあほんとこんな表情できる子がいるのか、と驚くばかりで、アダム・シャンクマンの演出力の無さやカッティングの下手さはもう呆れるくらいだけど、それでも彼女のあの表情を捉えられたのだから、100点挙げたい。
そして監督がいかに下手であろうと、この映画の面白さに傷がつくわけではない。歩くだけで女の子を失神させて見せる、トム・クルーズのロックスターぶりは訳わからないけど、最高にかっこよく面白い、ディエゴ・ボニータの色々あるよね人生は物語も秀逸だ。ラスト、『ラブソングができるまで』を彷彿とさせる、幸福感に満ちたライブシーンで涙を流すことを抑えられはしない。

・『デンジャラス・ラン』(ダニエル・エスピノーサ)
映画が始まればすぐに、ダニエル・エスピノーサというほとんど無名の監督が、そこいらの映画監督とは格が違う、優れた映画作家であることに気づくだろう。
圧巻は、セーフハウスに敵が忍び込んできてわーっとやりあうシーンで、この映画作家は、デンゼル・ワシントンを「全く動かさない」なんてことを平気でやってのけてしまう。『デジャヴ』や『アンストッパブル』などを見て、どうしたって最前線で動いちゃう・活躍しちゃう、彼を知ってしまえば、決して短くないアクションシーンにおいて、彼を椅子に座らせたまま、「全く動かさない」なんて選択肢、凡庸な映画監督には思いつきすらしないだろう。
どう考えたってトニスコ好きだろうこの映画作家は、気づけば、敵同士であったはずのデンゼル・ワシントンとライアン・レイノルズを、まるで『アンストッパブル』のデンゼルとクリス・バインのように心を通わさせてみたりもする。
ダニエル・エスピノーサという名前を覚えておこう。アメリカ映画に、またひとり次の作品が楽しみな映画監督があらわれた。

・『ドラゴン・タトゥーの女』(デヴィッド・フィンチャー)
DVDにて再見。やはり最高でした。

■最近読んだ本
・『恥辱』(J.M.クッツェー)
クッツェー初読。若い作家で彼より面白い話をかけるはいくらでもいるだろう。しかし彼より美しい文章を書ける人は、この世にほとんど存在しないのではないか。そして、その文章を日本語へと変換させるという意味において、翻訳家という存在をこれまで読んだ本の中で最も意識した。海外小説において、翻訳家は、もうひとりの作家なのだろう、そんなことを考えた。都合、30ページ以上もドッグイアーし、この文章を大切にしようと思った。この小説に出会えてよかった。

・『タイタンの妖女』(カート・ヴォネガット・ジュニア)
ヴォネガットはかつて、高校のときだったろうか、『スローターハウス5』を読んだきりでいまや物語すら思い出せないくらいなのだが、こんなにも面白い話をかける小説家だったのか、と驚いた。まるでアルフレッド・ベスターの『虎よ、虎よ!』を想起させる展開で、たいそう興奮し続けた。早速、『スローターハウス5』を読みなおそうと、本棚を探したが、見つけられなかったので、アマゾンで買った。ついつい『猫のゆりかご』と『国のない男』もつられて買ってしまった。届くのがとても楽しみだ。

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