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先の「2012best」でも挙げたように、僕にとって、2012年は『わたしたちの宣戦布告』の年だった。
ボーイミーツガールからの結婚・出産、そして子供が難病だと知り立ち向かう同作は、その与えられる過酷な状況下にも関わらず、ロメオとジュリエット2人の夫婦の絆ゆえ、最後の砂浜・海にたどり着き、ハッピーエンドという形で物語は終結する。

だが、僕たち誰しもが経験があるように、男と女の物語の常は、ああうまくはいかないものである。
通常、あのような状況下では、協力が足りないと女性は男性に強く当たり、男性は女性のやつあたりに我慢を重ねる。やがて我慢も限界に達した男性は、たまった怒りを女性に放出する。一度は愛し合ったが、所詮は他人同士だったが故、夫婦と言う絆は、脆く崩れやすい。お互いを大切にし、支えあうことを忘れれば、それはまた別の形での物語の終結となるだろう。

前作がフランスでスマッシュヒットを飛ばし、アルノー・デプレシャンと並んでセザール賞ノミネートされた新鋭レミ・ブザンソン監督の『理想の出産』は、ボーイミーツガール、結婚、出産という流れまでは『わたしたちの宣戦布告』と同様の展開であるが、子供が難病でなかったところから話は変わり始める。支えあわねばならぬ必然性がないが故に、妻は出産が故にうまく立ち回らなくなった自分の私生活(友人関係や助教授としてのキャリアステップ)の矛先を、子供を通して夫に向けるだろう。世の男が皆そうであると同様に、夫も妻の気持ちを汲みとりきれず、最初は優しい・理解のある男性を演じているものの、いつしか限界が訪れる。これ以上は踏みとどまらなければまずい、そんなサインは何度もあったにも関わらず、落ち着いて考えれば誰よりも大切で愛している相手に対して、「君と一緒にいるのはもう無理だ」と激昂に身を任せ口に出してしまうだろう。

『ブルーバレンタイン』、『(500)日のサマー』、『ルビー・スパークス』がそうであるように、男と女の常はそういうものであり、一度そうなればハッピーエンドは幻想である。ラストシーン、2人は初めてデートしたカフェで、再会するだろう。その先の未来が明るいかは、誰もわからない。一度の人生失敗しないためにも、映画でしっかりと予習をし、いざそんなときが来れば、ロメオとジュリエットのように、僕たちは立ち振る舞いたいものである。

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2012best
『わたしたちの宣戦布告』

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