田中大地のwebサイト

映画配給・宣伝マンはライターやマスコミとかと違って、他社配給の試写会に呼ばれるという機会はめったになくて、それは当然、別にあなたに観てもらってもどこかに掲載されるわけでもないし、という真っ当な理由でしかない。どうすれば呼ばれるのだろうか?ライターと勝手に名乗ればよいのだろうか?映画ライターと記載された名刺を作成し、至る所にばらまけば良いのだろうか?もしくは、このWebサイトのPVがイケダハヤトくらいになれば・・・。

しかし昨日はめずらしく試写状を頂戴したため、『インポッシブル』(J・A・バヨナ)に行ってきた。その試写はマスコミ試写ではなかったので、よみうりホールで行われた。よみうりホールは映画鑑賞環境としては有楽町朝日ホールと並ぶ最悪の場所だと思っているし、あれだけの人数を試写に招待して、売上棄損はどの程度大きいのか(それは果たしてクチコミ、ソーシャルによる拡散効果を超えうるのか?)とばかり心配になる。そんなビジネスライクな私の思考に、こちら側の人間についに染まってしまったか(Be Happy!)。

さて、『インポッシブル』はとかく涙を流しなさいよ!良かったと言いなさいよ!と空気を醸成してくる映画で、そのため私は、良かった、泣いた、と思ったし、口にした。上映前に、宣伝の人が噛み噛みになりながら、「津波の凄いシーンがあって、それが本当にすごくて、すごすぎるから、もし具合が悪くなったら後方で休んでかまわないので」と説明をしている間の、あの居心地の悪さに対して、私にはどう振る舞うべきか全くわからない。その宣伝マンの事前のネタバレのおかげで、ビーチではしゃぐ家族の姿を観ながら大いに心配し、夜ベッドに入る姿を観て、良かった今日も無事過ごせた、と安心をするという行為を繰り返す。しかし、そのときはやってくる。鳥がギャアギャア叫び、低音が響き、画面が揺れ、大波がやってくる。それはまさに尋常でない経験。これだけでスクリーンで体感するべき、しなければならない映画だ。

ただ、衝撃性と美術、メークアップに頼ってる部分も否めず、劇場的興奮は相当あれど、映画的興奮は正直疑問。津波から立ち直る物語かと勝手に思っていたので、まさか津波発生の数日を描いているとは思わず驚くも、しかし120分持つ映画ではなく、ダラダラ感も。いちばん、ウゲーとなったのは、ラスト「チューリッヒ保険です」からで、もう苦笑と興ざめ。異常に長いエンドロールもあいまって、前半の興奮を後半に全く維持できず。

宣伝文句は、いまこそ日本人が観るべき映画。そう紹介される映画としては、『ヒア アフター』の方が圧倒的にしっくりくる(映画の質も格段に上)あれこそ、津波から真に立ち直る物語だった。311後すぐに公開中止となったが、だからこそ上映するべき、観るべき映画だったと強く思った。その点、『インポッシブル』は「家族の絆」を実感はすれど、「再生と立ち直りの映画」では決してない、ということも添えておこう。

ヒア アフター DVD

“『インポッシブル』(J・A・バヨナ)” への1件のフィードバック

  1. 田中 大地 より:

    ブログ更新。昨日試写で観た『インポッシブル』(J・A・バヨナ)について。前半の興奮を、後半に全く維持ができない。
    http://t.co/wCLnw421Ur

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