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perfect crime

しばらくぶりに少し早く帰れたので、というか毎週木曜日はグローバル人になるため、英語のスクールに行っており、スクールに行っているからこそ会社を必要に迫られて早く上がるため、23時頃には帰宅することができた。映画を愛するがあまりに、映画を観る時間の余裕を失った哀れな私のことを、後世の子供たちは後ろ指を指して笑うだろう。ふと『マイレージ・マイライフ』での印象的なシーンを思い出した。ジョージ・クルーニーに解雇を宣告された会社のために一心に尽くしてきたおじさんが「子供は解雇された私への尊敬を失うだろう」と言う。クルーニーは答える。「子供は元からあなたのことを尊敬してなんかいませんよ。あなたに夢はありますか?・・・そうですか、飲食店を立ち上げることですか。子供が親へ尊敬を抱くときは、ただ夢に向かって走り続ける親の姿を見ているときだけです。」この瞬間私の涙腺は崩壊した。『マイレージ・マイライフ』は私にとって最も大事なキャリア論映画の一本となった。私は、毎日どこかで出会うこういった一つ一つの言葉を拾い、私の選択は間違っていなかったはずだと暗示をかける日々を送っている。

さて、久方ぶりにできた時間をどう使おうか?明日の仕事の準備に?英語の復習に?書こうと思いつつ長らく筆をとれずにいた手紙を書くために?思い悩むうちに、今朝読んだ、友人の素晴らしいブログを思い出した。幾つかの夜が、いや幾つもの夜が、私には輝かしい記憶として残っている。そのうちの一つが、日暮里かどこかの森本稀哲の実家の焼肉屋で日ハムの優勝を祝ったときだし、また一つが、新文芸坐でゴダールを「再発見」したオールナイト上映だった。彼のブログを読んで、それが一晩で起こった連なる出来事だということを思い出した。そうだ、ブログがあったじゃないか。映画のことを書かなきゃなあ、でも何か書きたいほどの映画にもしばらく出会っていないし、いや一本あった。しかし、私の打盤によって『孤独な天使たち』を汚すような真似はしたくない。そうこうしているうちに早3ヶ月以上が経ってしまった。映画のことなんて書く必要はない、私はこの輝かしい人生を永遠に保存するために日記を書き連ねよう。というわけで皆さまお久しぶりです。ここまでが長い挨拶。

そして物語は突然にキャリア論へと展開する。私は今はとても紆余曲折あり「映画×旅×IT」みたいな、なんていうか私がこれまで過ごしてきた人生の色々をミックスしたようなことをやっているのだが、そうなった過程はとても面白いので、さし飲みの話題以外には濫用しないようにしている。マイライフ、について徹底的に考えた末に私はこういった決断をしたのだが、いまの素直な気持ちは、(これは妥協でも諦めでもなんでもなく、)映画は私にとって夢の塊であるが、しかし、旅とITというジャンルも生きるための仕事としては最良の選択の一つである、ということだ。置き換えると、映画とかもう好き好き大好き超愛してる、のは間違いない。加えて、旅とか想像しただけですごくワクワクするね!という感情も、ITで成しあがってるキャリア成長実感はんぱねーと恍惚感に浸りもするし、そのどちらも、仕事として選択するのは全然ありだと思った。私には多彩な人生の選択肢が広がってしかいない。

映画業界に入ったとても大切な友人は、4大税理士法人、いわゆる30歳年収1,000万円の世界、一般的には華々しいキャリアを捨てて、映画の道へ入った。そういった人はワンサカいる。それだけ映画というものは人の人生を狂わせる。そして、半年後、彼女は言った。「私は、税理士法人に戻ることにした。夢を追って、これができなきゃ生きてる意味なんかないと、業界に飛び込んだ。でも今は、映画は趣味でいいんだ、と思ったら、とても気持ちが楽になったの。」こう言う彼女のことを誰が責められようか。ただ、寂しいという思いはあれど、あくまで多彩な人生の選択肢のひとつだ。少しばかり罪悪感を持って話すような彼女に、ひとつだけ、伝えなければいけないと思った。私たちは、夢に向かって挑戦と前進をしたこと、これだけは確かに誇るべきだ、と。それだけであなたは勝者だと。私は、いや私も、人の挑戦や前進をあげつらい、ゴシップだけが話題の醜い人々とは一緒にいたくもない。

キャリア論的には、夢に向かって走るのは、20代にしておくべきだ、ということもまた事実である。たとえその選択が間違っていても、彼女のように、カタギの世界にいくらでも戻ることはできるからだ。夢があるにも関わらず、自分を押し殺して、くすぶって、35歳を過ぎてさあ今こそ!という選択に失敗は許されない。まともな世界に戻ることができる可能性は激減するからだ。私たちの人生にとって、その選択はハイリスク過ぎる。いま私は28歳。考えられる猶予は最大1年半、と言ったところだろうか。人生をとてつもなく楽しむために、ときにずる賢く、計画的に考えていきたい。

思っていた以上にキャリア論日記になってしまった。私のいまの一番の楽しみは、もうすぐ開催される、東京国際映画祭だ。なんせ、ラリユー兄弟の新作が上映されるのである。映画関係者であるので、先行試写もあったり、チケットは無料とかで貰えたりもするのだが、先行試写は平日でなかなか動けないだろうし、無料チケットは満席になったら貰えないリスクもあるので、10月5日のチケット発売時間には待機しておかなければならない。パリに行ったときに(輝かしい記憶!)、私はでかいDVD屋みたいなところで、フランス語しか話せない店員にラリユー!ラリユー!と叫び、誰やねんそれと反応されながら、『運命のつくりかた』『描くべきか、愛を交わすべきか』のDVD(当然フランス語のみ)を購入したほど、私にとって、ラリユー兄弟は最も愛してやまない映画監督たちの一人だし、主演のマチューもサラ・フォレスティエも、最も愛してやまない俳優たちだから、『ラブ・イズ・ア・パーフェクト・クライム』(なんて破廉恥なタイトル!)は最も愛してやまない映画たちの一つになるだろう。

マイレージ、マイライフ DVD

 

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