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begin again


東京国際映画祭まっしぐらな僕ですが、とんでもない嬉しいニュースが!
ぼくは興奮に興奮に興奮をしております。

そう、ハワイで見た、今年暫定No.1の映画『Begin Again』(ジョン・カーニー)が、2015年2月日本公開が決定したとのこと。邦題『はじまりのうた』、超ダサイ!でもいいんだ好きだから。

早く見たい。劇場公開したら5回は見たい。2月まで待つのつらい。

というわけで、書く書く言って筆をとらないタチの僕ですが、本作について書こうと思う。少しでも多くの人に見てもらいたいもので。



この映画が、素晴らしい理由は、ほとんど一点に尽きる。

純然たる、本物の、音楽映画であること。それだけだ。

これだけ、音楽が形づくられる美しさを、喜びを表現できた映画がかつてあったろうか。

はじめて、ダン(マーク・ラファロ)がグレタ(キーラ・ナイトレー)の曲を聴いたときの、あの出会いの演出は。かってにドラムが動き出す、音楽がはじまる、興奮は。あるいは、街中や、路地裏や、屋上や、パーティーで奏でられる音楽は。



このあたりは、こちらも素晴らしかったクリント・イーストウッドの音楽映画『ジャージー・ボーイズ』と比べるとわかりやすいだろう。

それが音楽映画と括られようと、イーストウッドは、いつものやり方を、一切変えようとしない。そこにいる「人」そのものを撮り続ける。
彼にとって音楽で盛り上げることは二の次だ。たとえば、ステージで歌われる『君の瞳に恋してる』。ジャージーボーイズが、一度後ろを向き、観客へ振り返る。イーストウッド以外のアメリカ映画監督であれば、当然、次の切り返しで映す観客は、元いたステージとは別の、もっと圧倒的に大きなステージで歓声が上がるシーンに切り替わる所だ。

その演出が、音楽で盛り上げるためには一番手っ取り早いからだ。しかし、盛り上がる手法なんて当然わかっていても、イーストウッドはそんな演出は行わない。多くの人が涙を流すことを抑えられない、そのエンディングも、音楽によってではなく、はなればなれになった人たちが再び集まり、笑顔で踊り歌うことに涙するのだ。

対して、ジョン・カーニーは、イーストウッドの逆をいく。
人なんて正直興味ないようにすら見える。

ロックスターの男はなぜ唐突に女を振ったのか。女はなぜ、ロックスターのステージから去ったのか。ほとんど説明がなく物語は進む。
このあたりは前作『ONCE/ダブリンの街角で』において、最後に、女はなぜ男のもとに現れなかったか、全く語られないことと同じ。そう、ジョン・カーニーは全く興味ないのだ、そんなこと。

彼が興味があることは、ただひとつ。最高の音楽シーンを撮ること。
「音楽の魔法だ。音楽は世界の色を変える」とダンに言わせたのも、作曲やMVの制作に没頭して育った監督らしい。
きっと彼に人間ドラマを撮らせてもまったく成功しないだろう。

この映画を、そのストーリーの脆弱さから、非難することはほとんど筋違いだ。
音楽に突き抜けているからこそ、音楽が有る幾多のシーンが格別だ。


他にも、イヤホンをつけながら、手を繋ぎ街を歩く二人の姿はどうだろう。
かつて恋をしたことがある人なら、誰もが記憶にあるだろうその光景は。そして、その足でクラブに繰り出し、自分たちの曲で楽しそうに踊る2人の姿は。
mark-ruffalo-and-keira-knightley

あまりにも魅力的過ぎて、日本に帰国後行ったイベントで、DJがつまらない曲をかけている間に、思わずiPodを取り出し、真似をしてしまったものだ。選んだ曲は、リアーナとカルヴィン・ハリスの「We Found Love」。DJには申し訳ない気持ちはあったものの、自分の好きな曲で踊れるあの興奮を忘れられない。夜は更ける。すると、DJが最後の曲だ、と叫ぶ。「私たちは愛を見つけた!」という名の曲です、と。さっきまで耳元で聞いていた曲が、今度は会場全体にかかる。そう、こういうことなんだ。



最後に、この映画を特別たらしめる、もう1つの理由で締めくくりたい。
本作に惚れ込んで、ノーギャラ出演したというMaroon5のアダム・レヴィーンが歌う「Lost Stars」という楽曲だ。
今世紀、最も美しい声を持つ彼の、最も美しいメロディによって彩られたこの曲が、この映画を更に高い次元に昇華させていることは間違いない。というわけでこちらを貼って終わりたい。

というわけで、ほんとハイテンションでぎゃーと書いてしまいましたが、とにかく最高の音楽映画が誕生したことに歓喜し、その日本公開を心から応援してます。(配給会社のみなさん、僕なんかでよければ、宣伝協力とかやりたいので、ぜひメールでも連絡ください。)

【作品情報】
『はじまりのうた』(原題 Begin Again)
日本語公式サイト
2月7日シネクイント、新宿ピカデリーほか全国ロードショー

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