2012best

こんにちは2013!さようなら2012!
締めくくりは今年公開の映画と今年聞いた音楽ベスト。

■映画
『わたしたちの宣戦布告』(ヴァレリー・ドンゼッリ、フランス)-フランス映画の復活に。
『Playback』(三宅唱、日本)-映画の未来を支える2人の男に。
『桐島、部活やめるってよ』(吉田大八、日本)-映画館と屋上のシーンに。
『アルゴ』(ベン・アフレック、アメリカ)-ベン・アフレックの見せるリーダーシップに。
『ドラゴン・タトゥーの女』(デヴィッド・フィンチャー、アメリカ)-愛すべきリスベットに。
『戦火の馬』(スティーヴン・スピルバーグ、アメリカ)-馬、馬、馬!そして空撮!
『ミッドナイト・イン・パリ』(ウディ・アレン、アメリカ)-これぞ、まさにウディと言わずにいられなさに。
『J・エドガー』(クリント・イーストウッド、アメリカ)-3人の俳優に。
『ダークナイト・ライジング』(クリストファー・ノーラン、アメリカ)-地への誇りと、愛情に。
『デンジャラス・ラン』(ダニエル・エスピノーサ、アメリカ)-次作が楽しみな監督の誕生に。

アメリカ映画さえあれば何もいらないと長らく思っているが、
2006年の『キングス&クイーン』(アルノー・デプレシャン)以来、久々にフランス映画返り咲き。ただ、ただ、感動した。そこには映画があった。
『Playback』はそのタイトルを記事で見るたびに追い、毎度感動を覚えた。三宅唱とムラジュン、この2人がいるから、映画の未来はまだ大丈夫だと思った。

また、新作ではないので上記からは省くが、
『合衆国最後の日』『カリフォルニア・ドールズ』(以上、ロバート・アルドリッチ)『シルビアのいる街で』(ホセ・ルイス・ゲリン)『白夜』(ロベール・ブレッソン)という人生のベスト級の作品たちを劇場で見ることができたことが、なによりも嬉しい一年だった。

■関連記事
『わたしたちの宣戦布告』
『Playback』
『桐島、部活やめるってよ』
『アルゴ』
『ダークナイト・ライジング』

■音楽
THA BLUE HERB『TOTAL』-一番聞いた。毎日勇気をもらった。
DJ BAKU『POPGROUP presents, KAIKOO “Human Being”』
 -音楽の潮流はKAIKOOから始まるのではと信じて疑わなかった。DJ BAKUを大いに尊敬した一年だった。
Dr. Oop『Black Love Oriented』-夜、考えことをしながら一人聞いていた。お洒落さに身を任せたくなった。
YAKENOHARA『Step on the heartbeat』-ハートをビートした。
The Streets『Original Pirate Material』-ストリーツってこんなかっこよかったのかとおののいた。
Atmosphere『God Loves Ugly』-相変わらずすげーかっこよかった。
LUVRAW & BTB『ヨコハマ・シティ・ブリーズ』-夏に楽しい気分になりたいときによくかけた。
七尾旅人『リトル・メロディ』-悩んで前に進めなくなったとき「サーカスナイト」聞いて、より前に進めなくなった。
柴田聡子『しばたさとこ島』-忘れ得ぬ思い出となった金沢の夜だった。
Jack Johnson『To The Sea』スケボー、サーフィン、ジャック・ジョンソンとばかり口走る夏だった。

ヒップホップとスケボーさえあれば何もいらないと思った一年。

さて冬休み。

本日は仕事納めでした。1年間お疲れさまでした!

 

ほんとに悩み抜いた4月~10月。11月、12月、自分と向き合い、人生のことを真剣に考え抜いて、少なからず僕の人生にとって大きな決断をいくつかして、だからこそ最後の1か月は充実して終えられた。自分とここまで向き合えた、その意味で辛かったけど、とても重要な1年になったな、と思う。

 

人生のことばかり考えているとはいえ、映画を観ていなかったわけでは勿論なく(やっぱり僕にとって映画がなによりも大切だと気づいたこともあるし)。あなたの好きな映画を10こあげて、と問われてもランクインするであろう映画に数本も出会えていた。いつか何か書こうと思ってとってはおいたが、多分もう書かなそうなので、ここで羅列する。というわけで最近見た映画たちです。見た順に。

 

『5windows』(瀬田なつき)
『白夜』(ロベール・ブレッソン)
『さすらいの女神たち』(マチュー・アマルリック)
『キック・アス』(マシュー・ヴォーン)
『カリフォルニア・ドールズ』(ロバート・アルドリッチ)
『ザ・ウォード/監禁病棟』(ジョン・カーペンター)
『ステップアップ4レボリューション』(スコット・スピアー)
『遠距離恋愛 彼女の決断』(ナネット・バースタイン)
『トータル・リコール』(レン・ワイズマン)
『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』(マルコ・ベロッキオ)
『合衆国最後の日』(ロバート・アルドリッチ)
『ボーンズ・ブリゲード』(ステイシー・ペラルタ)
『刑事ベラミー』(クロード・シャブロル)
『トスカーナの贋作』(アッバス・キアロスタミ)
『ルビー・スパークス』(ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス)
『恋のロンドン狂騒曲』(ウディ・アレン)

 

そろそろ年間ベスト10の季節だが、旧作も入れてもよいというならば、『合衆国最後の日』が一番よかった。ここに僕の憧れる男像がすべてあった。丁度政治とか選挙とかあったしね。アルドリッチが続けて見れたことに感謝。ほぼ並んで、『シルビアのいる街で』『カリフォルニア・ドールズ』『白夜』。そして新作が来るという一年だった。


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さて冬休み。この時間を有意義に使おう。

ヴェンダースの死と再起『パレルモ・シューティング』

ヴィム・ヴェンダース。そのシネアストは僕にとってずっと特別な存在だった。

僕たちのような、映画の魅力に囚われてしまった人種というのは、みな、どこかで自分の「人生を変える映画」と出会っている。お互いが映画好きだわかると、自己紹介がてら、あるいは話題が尽きかけたとき、その映画は何だったという話になる。たとえばウディ・アレンの『アニー・ホール』、スピルバーグの『ジュラシック・パーク』、あるいはトリュフォーの『大人は判ってくれない』が、皆のそれであるように、僕の「人生を変える映画」は、ヴェンダースの『パリ、テキサス』だった。息子、ハンター君が、T字路で「右だよ」と言ったときから、僕はすっかり映画の魔力にやられてしまった。

『パリ・テキサス』は、ビデオでも、数少ない劇場上映でも、中学生でほとんどお小遣いなんてない時分、それでも観られる機会があれば駆けつけたし、ヴェンダースの他の映画も貪るように観た。『ベルリン天使の詩』『アメリカの友人』『都会のアリス』、決して孤独ではない彼のロード・ムーヴィーに夢中になった。ヴェンダースの『東京画』を観て、小津のことを初めて知ったくらいなので、彼は僕の映画の先生でもあったのだろう。

しかしヴェンダースの長い旅にも終りが来る。5カ国でロケが行われ、近未来ロードムーヴィーと歌った『夢の涯てまでも』以降、テクノロジーに埋没する。それまでヴィデオでしか見れなかった彼の映画を、ようやく同時代的に、劇場で観ることができた『ミリオンダラー・ホテル』はしかし、僕が一方的に憧れつづけたヴェンダースではなかった。その後、『ランド・オブ・プレンティ』という短時間で撮り上げた小作は悪くなかったが、『アメリカ、家族のいる風景』で、僕は、かつて最も愛した彼を追うことを止めた。

 

新作公開も、劇場に向かうこともしなくなった僕だが、約7年ぶりに彼の映画を観ることになった。観ている途中からほとんど涙が止まらなかった。僕は、『パリ・テキサス』以降のヴェンダース作品において、これほど心を揺さぶられたことはなかった。

この映画において、ヴェンダースは、自身を、主人公の写真家フィン(カンピーノ)に投影する。ヴェンダースがそうであったように、この主人公フィンは、テクノロジーに囚われ、次第に凋落していく自分に気づいている。

ヴェンダース×フィンに留めを差すのは、かつてのヴェンダースと共に素晴らしいロード・ムーヴィーを作り上げたデニス・ホッパーだ。死神として登場した彼の弓に撃たれキャメラ×カメラは、二度と撮れない状態になる。さらに、ヴェンダースは、デニス・ホッパーに「デジタルは実在しないことと同じだ」と言わせてみせる。フィルムで撮り上げながら、デジタル加工を躊躇なく施したこの映画においてだ。

そう、『パレルモ・シューティング』はヴェンダースの遺書である。彼は、自身の遺書を、紙ではなく、愛したフィルムに彫った。ヴェンダースはこの映画で一度死ぬことを選んだのだ。

しかし、そのラストシーンはどうしたって明るい。フィンの表情を観るかぎり、俺はまた、生まれ変わる、という決意のようにも見えるのである。

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